第2講 知的財産権の概要(1/3)

細川 学(2006年08月)

第1話 知的財産を産出する者とその権利

知的財財産は誰が 生みだすのですか

  1. 法律上の「人」には「自然人」と「法人」があります。知的財産は人の知的活動の産物ですから当然ながら自然人が知的財産を生み出します。知的財産関連法では法人の業務範囲内でその従業者等の自然人が知的活動を行った成果については条件付で法人に知的成果を帰属させることを容認する条文があります。その場合でも発明者や創作者には自分の氏名を表示する権利(人格権)があります。
  2. 「法人」とは法律で人と見なす一定の要件を満たすと認定した団体(法定団体)をさします。株式会社、有限会社、財団法人、政府、地方自治体、公共団体等がそれに該当します。
  3. 法人格がない私的団体は知的財産権に関する権利に制限があります。
  4. 知的財産権を人の知恵に関する財産との観点から無体財産権ともいいます。

無体財産権とは何のことですか

  1. 財産は資産と同意語で、それについては会計上は流動資産、固定資産、投資資産、無体資産等と区別されています。そして土地、建物、お金、有価証券のような「かたち」のある「有体財産」と対比するものとして、「無体財産」という言葉が用いられており、知的財産はこれに当たるとされています。ただし、知的財産はそのままでは会計上の無体財産としての価値がなく、正規の手続きを経て登録されて始めて知的財産権となり、無体財産権としての価値が生まれます。
  2. しかし、知的財産権の価値をいくらに評価し、それを会計上の無体財産と計上することは、ライセンス収入や販売に対する寄与度が明らかな場合はその収入や寄与度で算定するなどの方法がありますが、それでもなかなか難しい問題です。特許権を維持するための毎年支払う「維持年金」を資産に計上することもできますが、その特許が現実に利用されないものであれば、その「維持年金」は事実上、不良債権と言えるでしょう。こうした問題については、別に「知的財産経営学」として詳しく説明することにします。
  3. なお、正規の手続きを経て登録されていない知的財産は第三者対抗できる財産権ではありませんが、その場合でも発明者などが、それに自分の氏名を表示する権利、人格権はあります。

知的財産権にはどんな種類ありますか

大別すると以下のような種類があります

参考資料:財産=資産の種類

  • 流動資産:現金、預金、手形、売掛金、有価証券、製品、仕掛品等
  • 有形固定資産:土地、建物、機械、設備等
  • 無形固定資産:電気・ガス・電話等の加入権他
  • 投資その他の資産:投資有価証券、投資貸付金等
  • 知的財産権は税法上償却可能な無形固定資産に含まれ、課税対象となる

ちなみに知的財産基本法には以下によう に定義されています

2002年12月に制定された「知的財産基本法」では、以下のように定義されています。
第2条
この法律で「知的財産」とは、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの(発見又は解明がされた自然の法則又は現象であって、産業上の利用可能性があるものを含む。)、商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報をいう。
この法律で「知的財産権」とは、特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は法律上保護される利益に係る権利をいう。