第 7講 特許法(追補修正 2006年9月) PDF
細川 学(2006年09月)
注意
- 本書は法律に馴染みの薄い技術系学生のために編集した大学教育用特許法である。
- 条文を横書きとし、条と項は算用数字を用い、号は漢字を用いた。
- 又第1項を「1.」と表記した。
- 引用条文に赤字の注釈を入れた。
- 平成16年1月1日以降に施行された改正法と、平成19年4月1日施行予定の改正法を青字で示し、注目条文を青色太字で示した。
- 法文そのものは「工業所有権法文集」等の権威ある法文集で確認すること。「特許法」電子政府e-Gov「特許法」
第1話 知的財産関連法における特許法の位置づけ
- 特許法は知的財産関連法の中核をなす法律で、「発明」を保護する法律です。
- 特許法のルーツは、国際的にはパリ同盟条約で、国内的には明治18年の専売特許条例です。その後、明治42年と大正14年には欧米先進国に遜色のない特許法に改正した。
- 現行法のルーツは昭和34年4月13日公布、同35年4月1日施行の法律第121号の特許法です。
- この特許法は戦後復興の手段として「技術立国」型の法体系でした。その後幾多の改正を経て、現在は知的財産権を強く保護する法理(プロパテント法理)に改正されました。
- 平成16年1月1日から施行の改正特許法はプロパテントの法理を明確にしている。
特許法の制定と改正の歴史
- 明治18年 4月18日 : 専売特許条例、同年7月1日より施行
- 明治21年12月20日 : 特許条例、同22年2月1日より施行
- 明治32年 3月 2日 : 特許法公布、同年7月1日より施行
本法は明治42年に大幅に改正された(明治42年法)。
併せて実用新案法、意匠法及び商標法も改正された。 - 大正10年 4月30日 :大正10年特許法(法000号)公布、同11年1月11日より施行
- 昭和34年 4月13日 :昭和34年特許法(法122号)公布、同35年4月1日より施行
注:明治32年法はわが国がパリ条約へ加盟するために制定された特許法である。
わが国の工業所有権制度及び著作権制度の歴史
- 1474年 文明 6年 世界初の特許法「発明者条例」(イタリア・ベネチア共和国)
- 1885年 明治18年 専売特許条例の制定
特許第1号「堀田式錆止め塗料とその塗法」(堀田瑞松) - 1886年 明治19年 文学的および美術的著作物の保護に関するベルヌ条約の締結
- 1888年 明治21年 特許条例(審査制度の導入)・意匠条例の制定
- 1890年 明治23年 木製人力織機の特許(豊田佐吉)
- 1899年 明治32年 特許法・意匠法・商標法の制定、著作権法の制定
ベルヌ条約、パリ条約に加盟 - 1905年 明治38年 実用新案法の制定
- 1921年 大正10年 特許法の改正(先願主義、出願公告制度、拒絶理由通知制度の採用)
- 1934年 昭和 9年 不正競争防止法の制定
- 1967年 昭和42年 世界知的所有権機関(WIPO)の設立
- 1990年 平成 2年 世界初のオンライン出願受付
- 1995年 平成 7年 TRIPS協定の発効
- 1996年 平成 8年 TRIPS協定、先進国履行義務発生(1月から)
- 2000年 平成12年 TRIPS協定、開発途上国にも履行義務発生(1月から)
以下省略 出典:特許庁作成資料
- 平成16年1月1日施行の特許法等の一部改正:料金制度の改正、意義申立制度の廃止、審判制度改革、発明の単一性要件の国際的調和、審決取消し訴訟における審判前置と意見陳述他。
- 特許法第37条(発明の単一性)ついては別項の「平成16年1月1日施行の改正特許法について」を参照のこと。
- 平成17年1月1日施行の特許法第35条(職務発明)も別項の「株主の負託に応える職務発明」を参照のこと。
- 平成19年4月1日施行予定の改正特許法は大幅に引き上げられる罰則と「補正」について注目すること。
PDF版の内容
わが国の工業種有権制度及び著作権制度の歴史」
「特許庁が説明する発明の定義」
「特許出願の流れ図」
「特許法」電子政府e-Gov「特許法」