印刷 文化と文明の関わり(1/11)PDF
元凸版印刷株式会社 河野 通
本稿は同志社大学経済学部オープン講座「科学と技術」プレゼンテーション資料に口頭で話したことなどを含め若干加筆訂正したものである。なお、使用の画像は特に記載のもの以外は凸版印刷・印刷博物館提供による。しかし、著作権の問題については引用している画像、図について、インターネット上で公開する使用許可を得てはいないが、使用目的に鑑み、お許し願いたい。
プロローグ
特集「世界の100大発明・出来事」
1997年秋:英ライフ誌表紙
同ライフ誌での
1位は1455年のグーテンベルグによる活版印刷の発明
2位は1492年のコロンブスのアメリカ大陸到達
3位は1517年のルターの宗教改革
印刷文化論
- グーテンベルクの銀河系
- 日本の印刷文化
- Being Digital
印刷について3つに分けて話したい。
まずメディアの担い手である印刷が果たした文化的役割、それをヨーロッパ社会においてグーテンベルク以降のいわゆるグーテンベルク・ギャラクシーといわれる人類文明に果たした成果と影響をたどり、
ついで2番目に東洋では印刷はどのように展開し、何をもたらしたのか、とくに日本について明治期に活版印刷を受け入れまで振り返りたい。そして20世紀後半コンピュータの出現とともに再び変革した情報技術、すなわちデジタル技術により印刷および情報技術がどう変革しているかを述べる。
3番目に印刷技術の現状をとくに日本について述べたい。
情報革命は4回あった
- 言葉の発明
- 文字の発明
- 活版技術の発明
- インターネットの発明
人間が他の動物と違うのは言葉によりお互いにコミュニケート出来ることと言われる。それにより人類は獲得した情報を共有したり、交換することで改良したり、蓄積できるようになる。これが人類を他の動物より急速に発展させる原動力になったと考えられている。
言葉は13万年前に獲得したとされている。文字の使用は5000~6000年前にメソポタミアに始まるとされている。
活版印刷は1450年ごろグーテンベルクによりマインツで始められた。
インターネットは1980年ごろTCP/IPというプロトコルを使用してワールドワイドのコンピューターネットワークを作ったのが始まり。ネットスケープやマイクロソフトによりブラウザーが出来てWWWが急速に普及した。