第10講 商標法(追補修正 2006年9月) PDF 

細川 学(2006年09月)

注意

  • 赤字は著者の注釈。
  • 青色は平成17年6月改正法。
  • 緑色は平成18年6月改正法。
  • 条文は原文を参照のこと。電子政府e-Gov「商標法」​

平成17年6月商標法改正については、以下のように説明されています。

1.法律改正の目的

地域ブランドをより適切に保護することにより、競争力の強化と地域経済の活性化を支援するため、地域名と商品名からなる商標について、団体商標としてより早い段階で登録を受けることを可能とする措置を講ずる。

2.法律改正の概要

地域おこしの観点から地域名と商品名からなる商標を当該地域の産品等に用いて、地域ブランドとして当該地域経済の活性化に結びつけようとする取組が増加している。一方、現行商標法では地域名と商品名からなる商標の登録を全国的な知名度を有する等、一定の要件の下でしか認めていないため、全国的な知名度を獲得する前の段階から一般の産品等と差別化を図りたいとの要請には十分には応えきれない状況にある。このため、地域ブランドに係る商標を適切に保護する観点から、以下のような措置を講ずる。
  • 地域名と商品名からなる商標(地名入り商標)について、事業協同組合や農業協同組合によって 使用されたことにより、例えば複数都道府県に及ぶほどの周知性を獲得した場合には、地域団体商標として登録を認める。
  • 地域団体商標が登録された後に、周知性や地域との関連性が失われた場合に無効審判の対象とするとともに、商品の品質の誤認を生じさせるような不適切な方法で登録商標を使用した場合に取消審判の対象とする。
  • 地名入り商標の出願前から同一の商標を使用している第三者は、自己のためであれば当該商標を 引き続き使用することができる。

平成18年6月の「意匠法等の一部を改正する法律」の目的は、

  1. 権利保護の強化デザイン(意匠)の創作やブランド(商標)の確立、革新的な発明(特許)によって我が国産業の国際競争力を強化するため、国際的な制度調和の観点も踏まえ、産業財産権の保護の強化、権利取得の容易化を図る。
  2. 模倣品対策の強化模倣品被害の国際的拡がりが見られる中で、模倣品の流通・輸出入を防止するための措置を強化する。

というもので、商標法については、

  • ブランドの保護
    1. 小売業者等が使用する商標について、事業者の利便性向上や国際的制度調和のため、巧む商標として保護制度を導入する。
    2. 団体商標の主体を見直し、広く社団(法人格を有しないもの及び会社を除く)も主体となることを可能とする。​
  • 模造品対策の強化
    1. 侵害行為に模造品の輸出を追加する。
    2. 侵害罪について懲役刑と罰金刑の上限を引き上げる。

といったことが行われている。

PDF版は商標法の「注釈法文」