第14講 知的財産権の取得と費用 PDF
細川 学(2006年09月)
第1話 知的財産権の取得
どうしたら知的財産権が取得できますか
- 発明、考案、創作等の知的成果を創出したもの(自然人又は法人)はその知的成果(知的財産)を所有できますが、他人に対抗できる「権利」とするためには所轄官庁等に設定登録が必要です。
- 「権利」は国等の権限ある官庁が一定の法律行為により付与するか又は裁判所等の司法機関の判決や決定により発生します。
- 工業所有権4法(特許、実用新案、意匠、商標)関連の知的財産権は権利を希望する者が特許庁に特許出願又は実用新案、意匠若しくは商標の登録出願し、特許庁の審査(実用新案は方式審査のみ)を経て特許庁が一定の法律要件を満たしていると認定した当該出願を特許庁の各原簿に登録して初めて発生します。なお特許公開公報に掲載された特許出願や特許掲載公報に掲載された国際特許出願は当該出願の特許権の設定登録を条件とした仮保護の権利も発生します。
- 実施権、質権、移転、相続、放棄等の権利叉は権利にまつわる事項も登録しないと第三者対抗要件が発生しません。
- 著作権は文化庁に登録する(コンピュータプログラムは文化庁指定の登録機関)ことにより第三者対抗要件がしますが、実体審査はありません。なお著作権は人の創作により発生する権利ですから、登録しなくても裁判所の判決、関係人若しくは衆人の認定等で著作者叉は著作権者を認定することができます。
- 半導体集積回路の回路配置の回路配置利用権は、経済産業省に設定登録の申請を行行うことがきます。実体審査はありません。権利行使には制限があります。
- 特許庁等の行政機関に対する手続、出願、審査・審判の請求、権利の設定登録、維持等の受益行為には原則として法定の手数料又は料金の納付が必要です。
- 営業秘密は権利ではありませんから設定登録できません。しかし、他人の営業秘密の不正な取得や使用は不正競争防止法、刑法及び民法で処罰されます。
- 正規に登録された特許権等の知的財産権は対価収入、営業利益、競争力、技術進歩などの価値が生まれたときは財産となりますが、価値のない権利は単に所有権があるにあるに過ぎません。かえって、特許権維持費用や管理費を考慮すると、資産の時価評価上は不良債権となるかも知れません。第25講参照
第2話 知的出願
,serif">rif">特許庁における権利付与の仕組みを図で説明します
特許権を取得するための実務
知的財産権中特に重要な特許権を取得さるための実務を図で説明します。実用新案、意匠、 商標の取得については後に説明します。特許出願等の実習は別に行います。
- 特許出願は願書に明細書、必要な図面、要約を添付し、出願手数料を特許印紙又は予納金表示を 添付し、特許庁長官あてに提出します。提出は特許庁の窓口、郵送、パソコンによるペーパーレス出願も 可能です。帳票、記載方法等の具体的な手続方法が法令で厳密に規定されていますので、それに 準拠します。
- 最初に方式審査があり、それにパスすると実体審査にまわされます。方式違反が克服されないときには出願は却下されます。却下されなかった特許出願は1年6ヶ月後に公開されます。出願人には公開段階で実施料相当程度の金員の請求権等が発生しますが、その権利の行使は特許権の設定登録後です。従ってこの請求権は設定登録に対する不確実性から制限された権利であり、仮保護の権利とも言われています。
- 出願人は3年以内に審査請求するかどうかを決めます。審査請求しない出願は取下げたものとみなされます。特許庁の審査官は審査請求のあった出願に限り審査し、法定の特許要件による拒絶の理由がないときは特許査定し、法定の特許料の納付が有れば特許権の設定登録をします。審査官は拒絶の理由があるときは出願人にその理由を通知し、拒絶の理由が解消すれば特許査定し、解消しなければ拒絶査定します。拒絶査定に対しては不服の審判を請求できます。設定登録された特許権は特許公報に掲載されます。
- 何人も特許公報に掲載された特許権について「特許無効審判」を請求することができます。特許庁審判官は「特許無効審判」のあった特許権については権利者に答弁書、補正書を提出する機会を与えます。特許無効審判請求人には弁駁の機会が与えられます。審判官は請求の成立・不成立を審決します。審決に対しては東京高裁に審決取消訴訟を提起できます。その際特許権者には訂正の機会が容認されています。
- 特許権の維持には毎年特許料の前払いが必要です。1年目から3年目までは特許権の設定登録要件になっています。特許権は経年に対し累進的に高額になりますから、無価値な特許権の維持は 不良債権となり、有価値権利の放置は技術の進歩、産業の発展の観点から負の権利ともいえます。 特許料の免除叉は猶予の制度もあります。特許庁が行った方式審査による却下処分等は行政不服 審査法による不服申立が原則としてできます。
- 審決取消訴訟においては、特許庁長官は一定の条件で、東京高裁に対し意見の陳述をすることがでます。
- わが国に対する特許出願は互恵主義がとられている外国からの特許出願は原則として可能ですが、優先権の主張ができる者はパリ条約の加盟国叉は世界貿易機関の加盟国の国民等の制限があ ります。特許協力条約に基づく外国語特許出願も可能です。日本人が第1国を外国の特定国、第2国以下に日本を含めることも可能です。
- わが国から外国への特許出願はパリ条約ルートでもPCT ルートでもできます。リスクは有りますが優先権なしの出願も可能です。
第3話 特許権
項目のみ。詳細はPDF版。
国はなぜ発明者に特許を付与するのですか
誰がどんな発明について特許権を取得できますか
特許権とはどのような権利ですか
特許権の取得・維持の実務をどうのようにしますか
職務上の発明、創作とは何ですか
知的財産関連法における「実施」、「使用」、「利用」に違いがありますか」
第4話 特許権を用いた攻撃と防御
項目のみ。詳細はPDF版。
特許侵害とその攻撃と防御の方法を教えてください
特許紛争の予防方法を教えてください
第5話 特許権を用いた攻撃と防御
項目のみ。詳細はPDF版。
特許公開方法、特許広告公報の活用方法を教えてください
第6話 不服と紛争
項目のみ。詳細はPDF版。