時空の漂白 30  PDF (2010年11月6日)

広島便り(あれから5年)プラス       高橋 滋    

5年前に、老後のプレイグラウンドと称して、小さな小屋を自作した(そのときの記録を、「時空の漂泊」に載せていただいた)。

その頃を振り返って今年2010年8月に「時空の漂白」に「広島便り(あれから5年)」(第29号)を書いた。今回は、それに対する補足である。

広島市内から70キロたらず、わが津田の園地からは直距離で25キロ程度のところに大規模なブナ林があるということが、私の「地方・中小都市すみやすし」論のサポートになっているかもしれない。

津田からは20分で800メートルレベル(中国地方の「中位面」と呼ばれている)(冠高原)に達し、そこから1300メートル級の西中国山地の末端(冠山かんむりやま寂地山じゃくちさんなど)に歩いて容易に行ける。

吉和よしわまで足(車)を伸ばせば、十方山じゅっぽうざん(1328メートル)という景色のよい山へ登ることができ、そこから広島県最高峰の恐羅漢山おそらかんざん(1334メートル)はまさに「指呼の間」です。

紅葉も深いですが、春先はカタクリが咲き、新緑に温泉、といいところです。

恐羅漢山は広島県で一番高い山で、西中国山地の盟主でもある。島根県と接しており、その側の台所原というところにブナの原生林があり、巨木が残っている。

ここはもう里山ではなく「奥山」である。そこに11月3日に出掛けた。山が深く、渓谷も多いので、川と紅葉のバランスがきれいである。頂上付近のブナは老化が進んでいて痛ましいが、中腹以下には壮年のものも多く、見事な景観だった。カエデ類も栄養を充分取って、きちんと色を出していた。

朝方は零下だったが、昼間は暖かくなり、ヒオドシチョウを見ることができた。