時空の漂白 36 PDF (2010年12月6日)
広島便り 2010里山を歩こう(6)身近な自然観察 高橋 滋
ところで佐伯の花上の小屋というのは、「時空の漂白」(2005年3月22日 第8号)----「広島便り 山中の小屋造り」で触れた週末農園などのための小屋である。野菜や花の栽培、間伐材の加工、家具製作など木工の拠点とするつもりであるとした小屋である。
そこで場所についても、「平成の大合併で、広島県でも多くの町村が名前を変えた。廿日市市津田も土地を購入した2年前は佐伯郡佐伯町津田だった。 廿日市市は広島県に西側に隣接し、佐伯は西に長く延びて山口県に接する。佐伯には江戸時代の津和野へつながる街道があり、その跡が残っている。町を流れる一級河川、小瀬川は上流にまとまった集落がないため水は清冽である。水量も豊富である。
なだらかな周囲の山は昭和の中頃まで多くの山の富を里の民に供給していた。」…………などと紹介した。
クロアゲハ(黒揚羽) 5月24日(火)
この小瀬川の源流の一つ園地横の川に沿って行った。強い雨が降った後なので写真の通り流量が増えていた。
余談だが、このくらいなら問題ないが、この渓谷は実は基本的には気を付けないといけない渓谷である。広島県のハザードマップでは「土石流危険渓流」とされており、我が小屋の隣の家の土地に至っては、川にも山にも近いため「急傾斜地崩壊危険箇所」に指定されているのである。
この渓谷にはノアザミ(野薊)が咲く。アザミ(キク科アザミ属)の種類は多いが、「春先に咲くのはノアザミだけ」と教えられたことがある。
このノアザミに何故か黒いアゲハ、クロアゲハ(黒揚羽)などが集まる。というよりは、この辺りには黄色のアゲハ、キアゲハ(黄揚羽)などが少ないということなのかも知れないが…………。
そんなことを思っていたら、クロアゲハではないが、黒っぽい翅の表が緑色〜青色に輝くカラスアゲハ(烏揚羽)が登場した。
羽化してまだ間もないのかも知れない。翅の表も裏も「ピカピカ」である。身近な蝶の中ではカラスアゲハは最も派手な色彩の蝶かも知れない。
ウリカエデ(瓜楓)の翼果
今日は飛ぶものが目に付くのかも知れない。植物もそうだ。ヘリコプターの翼に例えられる羽の付いた種子が目に入ってきた。
いわゆる「翼果」----「果皮が伸びて翼状になり、風によって散布されるようになっている果実」である。
「翼果」はカエデ(楓)の仲間に共通のものだが、写真の葉は、いわゆるモミジ型(手のような形)の葉ではない。カエデ類でもモミジ型の葉ではないカエデもある。しかし、「翼果」は共通で、そこから仲間かどうかを確かめることができる。まさにウリカエデ(瓜楓)はその一つである。
ヒメウラナミジャノメ(姫裏波蛇目)
イチモンジセセリ(一文字挵)5月28日(火)
茶色のチョウは地味であるが、よく見るとなかなかの魅力を持つ。ヒメウラナジャノメもその一つだろう。
金環の付いた一際目立つ「蛇の目」の紋が翅にある。後翅の裏には、普通、5つある。
昨年、名前が分からなくて「質問箱」に出して名前を教えられた蝶、イチモンジセセリに今年も出会った。後翅の裏に紋が繋がって一文字模様が見られる蝶である。「黒地に白い班」は「ミスジチョウ」類と自分は思い込んでいて、それで図鑑では確かめることが出来なかった蝶である。写真はネット上のものだが、違いは一目瞭然だろう。
サワフタギ(沢蓋木)
川筋の林地に白い花が咲いていた。先日見た「ハイノキ」(灰の木)に似ているが、葉が違う。図鑑で調べて、ハイノキ科のサワフタギとした。サワフタギならきれいな実がなるはずだが、今までこの木に気が付かなかった。