時空の漂白 38  PDF (2010年12月13日) 

広島便り 2010里山を歩こう(7)身近な自然観察  高橋 滋   

 

ササユリ 6月4日(金)

先週に続いて今週も金曜日に佐伯の花上はながみ

今年も白色のササユリ(笹百合)が咲いた。この花が咲くと「ひとつの季節が来たな」という感じに捕らわれる。今年は少し離れたところに濃いピンク色のものも咲いていた。

ところでササユリは日本特産のユリでヤマユリとも言う。本州中部から九州に広く分布しているという。

ネット上で情報検索を行うと、数万件もヒットする。次のようにササユリに関する情報に溢れているサイトがある。

林間にはアジサイ(紫陽花)の仲間の落葉低木のコガクウツギ(小額空木)がひっそりと花を付けていた。

ところで花と言ってもいろいろなタイプがあるが、基本的には一本の雌しべ、それを取り囲む何本もの雄しべ、それと何枚もの花びら(花弁)など左図に示すような構成になっている。

このように雌しべ(雄蕊)と雄しべ(雌蕊)が揃い機能している花を両性花と言う。雌しべか雄しべの片方しか機能しない花を(単性花)、双方が機能を失い実のならない花(無性花)もある。

アジサイなどでは、この無生花の花びら(花弁)やがく(萼)大きく派手な「装飾花」となり、柱頭が雄しべの花粉を受粉し、種子形成するのに一役買う昆虫の誘引に役立っていると言われている。実際、コガクウツギの花びら(花弁)は光を受けて一段と輝いていた。

欧州原産、イングリッシュガーデン系の栽培品の宿根草。セリ科の仲間のアストランティアの花もよく見るとなかなか美しく、今年も咲いていた。

 同じく栽培品のオオヤマレンゲ(大山蓮華)も毎年、この頃に花を付ける。モクレン科で、花びら(花弁)に特有の質感がある。広島県の「吉和冠山」の麓にオオヤマレンゲの自生地があり、多くの人に愛されている。

あっという間に一週間が過ぎた。小屋に戻ったらコアジサイ(小紫陽花)の花が咲いていた。コアジサイは、林間の、やや湿った道路沿いなどで、元気よく咲いているのをよく見かける。しかし、どうも陽当たりの良いところに植えると育ちが悪い。

アジサイというと無性花の花びら(花弁)やがく(萼)が大きくて派手な「装飾花」となって、小さな両生花を取り囲むように咲いているのが普通で、「装飾花」のないコアジサイは趣が深いが、それだけに野に置いておくべき植物という思いを改めて深くした。

種から育てた。背丈は1.5メートルを超え、どういう花が咲くかと気をもんでいたら、セリ科特有の冠のような花を付けた。いわゆる「複散形花序」と呼ばれる「花序」--- 花の付き方・花の配列である。先端に1つの花を付けるチューリップなどは「単頂花序」という。

「複散形花序」とは「散形花序」が下図のように複数組み合わさったもので、ニンジンや、パセリやミツバなどを含むセリ科特有の花の付き方である。

あまり耳にしない「アンミ」(アンミマヨール)という植物のようだ。薬用植物にもなっているようだ。「ホワイトレースフラワー」という名前もある。

しかし、同じセリ科ではあっても、その下の「属」の段階では異なるものが「ブルーレースフラワー」と呼ばれている上に、その中には、花の色が「ブルー」ではなくて「薄いピンク」のものもあり、ややこしい。