時空の漂白 43  PDF (2011年1月11日)  

広島便り 2010里山を歩こう(10)身近な自然観察  高橋 滋 

 

夏くる 8月4日(水)  

アオスジアゲハはよく飛来するが、高いところを飛び、一箇所に止まることも少ないので、写真に収めるのはなかなかむずかしい。この時期なりの花(ヌルデなど)が咲き、チョウを呼ぶ。容器がないのでバケツに入れて、網をかけてベランダに置いておいたら、網を外してだいぶ逃げていってしまった。

8月6日(金)

判定が別れ再訪を待っていたチョウが来た。図鑑で説明のある特徴から、やはりアサマイチモンジのようだ。

林間を歩いていると、スミナガシが来た。戦闘機のような体つきで、色・柄ともユニーク。地味派手な蝶である。

参考までに春型のスミナガシを紹介する。これは2008年5月撮影のものである。

ウラギンシジミも舞い始めた。

足元にはマムシグサの実が色づき、アキノタムラソウが咲いて、秋の気配を呼び寄せる。

8月9日(月)

ウラギンしじみの雄。もう秋の色である。

ソバに止まるモンシロチョウ。秋の気配と共に再び姿を現し、小松菜や大根などのアブラナ科の野菜を狙う。春作のソバは、気温が上がると種子を結ばなくなるので、播種の適期がきわめて短い。しかも3月末と、普通の種蒔きの感覚よりも早い。

そんなことをインターネット掲載の論文で知った。このあたりではソバの栽培は少なく、さらに春ソバは少ないようだ。

8月13日(金)

クサギが咲いた。白い蕾が目立ち始めて2週間、ようやく開花した。

 臭いにつられてか、黒いアゲハがたくさんやって来た。期待していたモンキアゲハも来た。真っ黒な大柄な白い紋が目立つ。密が少ないのか、同じ花に止まっている時間が短い。

キバナコスモスにもやってきた。

足下にはゲンノショウコの艶やかな花が咲いている。ゲンノショウコの属名はゲラニウムで、日本語ではフウロウソウ属になるが、この仲間には綺麗な高山草類が多い。花色、花弁の雰囲気とも繊細である。もっとも季節が進むと草姿が乱れてくるのが難なのだが:::。

8月20日(金)

酷暑と強い日差しにもかかわらず、多くのチョウが飛来する。モンキアゲハやカラスアゲハが乱舞するさまは見ごたえがあるが、羽を休めず吸蜜するため写真にとらえるのがなかなか難しい。

黒い羽で暑いのだろう、川沿いの下藪で羽を広げて休む姿が見受けられた。ヤンマのように体を垂らしている。

打ち水にキチョウが集まってきた。

8月24日(火)

5月はじめにツマキチョウを見て以降、注意深く観察してきた(廿日市市津田)。周辺の自然は毎週のように変化し、何の変哲もない中山間地なのに多様な昆虫が来訪する。改めて「里山の力」

(環境の多様性による生き物サポート力)を実感する。

林地にサトキマンダラヒカゲが。あまり目立たない。

ヒョウモン類が来ると、秋の気配である。ツマグロヒョウモン。

ヒメアカタテハ。

8月31日

ルリタテハも時期になると必ずやってくる。花に留まることはない。タテハ類の写真を見ると、皆、留まるのに足は4本しか使っていない。