第12講 著作権法(1/3) PDF
細川 学(2006年09月)
第1話 著作権の目的
著作権法第1条に「著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与することを目的とする」とあり、この目的のための法律である。
著作権法はこの目的のために著作者の知的創作活動により創出された知的産物に独占権を与えているのは、広義の著作者及び実演家の創作行為の保護を主眼としている。複製機器の高度な発展はこのような知的産物の保護により実効のある保護を求められているが、その困難性も指摘されている。同時に新たな国際的な通信ネットワーク技術(IT=information technologyと総称されている)は知的産物へのアクセスの機会が増大し、その国際的な保護のあり方を複雑化している。特にマルチメディアの登場は権利の行使、利用、消尽等従来の著作権法では解釈が困難な課題が生じている。