第 3講 知的財産権を守る世界の仕組み(2/3) PDF
細川 学(2006年08月)
第2話 パリ条約の概要
パリ条約の目的:工業所有権を保護するために同盟を形成する(第1条)。
- 加盟国は工業所有権を内国民と同一条件で保護する国際行動を行う。
- 無体財産の人類共有性の観点から加盟国の工業所有権の保護を通じて技術の交流を促進し、産業の発展を図る。
- 同盟は発明・考案・創作・使用した者(自然人、法人)の人格権を国際的に保証する。
パリ条約の3 大原則
- 内国民待遇による保護(第2条):(1)内国民に適用される現在及び将来の法令を加盟国の国民に与える。(2)内国民待遇に住所、営業所を条件としない。(3)裁判管轄権、代理人の条件は各国の法令による。
- 優先権制度(第4条):(1)加盟国の1国に特許、実用新案、意匠、商標を出願した者は他の加盟国への出願に際し一定期間優先権を有する。(2)期限内の優先権の申し立てにより「最先の地位」をうる。(3)物の発明における販売条件、方法の発明における物の販売に関する許認可の制限を受けない(第4条の4)。
- 各国特許(工業所有権全体)独立の原則(第4条の2):各国で付与された特許権等は国ごとに独立し、効力はその国の法令による。(効力は条約に無関係である)
商標保護の原則(第6条、第7条)
- 商標独立の原則(第6条):(a)本国の出願・登録状況に無関係、(b)営業所の存否 に無関係(第2条)、(c)使用の義務はない(第6条の2)
- 周知商標の保護(第6条の2)
- 同盟国の紋章、旗章、記章、証明用呼号等の保護(第6条の3)
- 本国登録商標の保護(テル・ケル商標、第6条の5)