印刷 文化と文明の関わり(8/11)PDF
元凸版印刷株式会社 河野 通
インキを紙に移すには
印刷の5方式
- 凸版(フレキソ、活版)
- 平版(オフセット、リトグラフ)
- 凹版(グラビヤ、エッチング)
- スクリーン(シルク)
- インクジェット レーザープリント
4版式のメカニズム
DTP (Desk Top Publishing)で作成された画像や文字データはデジタルデータで共通のフォーマット(PS : postscript)で各種の出力機により印刷用の刷版に出力される。オフセット(平版)ではCTP (Computer To Plate)というデジタルダイレクトプリセッター(製版機)―――レーザ光で感光材の塗布されたアルミ版に直接、文字や画像データを描き、それを現像処理して刷版とする。これはフレキソ(凸版)にも利用されている。グラビヤ(凹版)でも従来の写真製版を使って腐食して刷版を作るアナログ的方法は姿を消し、ダイヤモンド針によって直接、網点をシリンダーに彫刻する電子彫刻機(ヘリオ)か、感光材の塗布されたシリンダーに直接、レーザ光で網点を描き、それを現像処理するレーザ腐食機を使用するように変化している。
なお、感光材にレーザ光で直接、描画する方法は印刷以外にも、プリント基板など電子部品の製造など広く使用されている。
スクリーン印刷の刷版は繊維や金属のスクリーンに感光材レジストを塗布し、フイルムの版を密着露光し、現像して作成している。
またインクジェットは刷版を作らないので印刷といえるか微妙であるが、多数複製の手段になりつつある。文字、画像の処理作成編集などすべて印刷と共通した技術で、ただ目に見える刷版がないだけである。
インキを紙に移すには
ヘリオクリショグラフ
インキを版に、紙に移すには印刷機
印刷機に必要な機能
- 給紙部
- インキング部
- 版取り付け部(版胴)
- 印圧部(圧胴)
- 乾燥部
- 排紙部
圧をかける方法
- 平圧ネジから梃子へ
- 円圧
- 輪転
グーテンベルクが印刷機を発明して以降、約350年間、それと同じ原理のネジ方式で圧を加える方法が用いられていたが、1800年、英国のスタンホープより梃子式のスターンホーププレスという総鉄製のプレスが発明された。これは印刷の産業革命と言われるぐらいに大きな変革であった。まさに英国で産業革命が進行している中でのことで、それに続いて、英国にいた独のフリードリッヒ・ケーニッヒとフリードリッヒ・バウアー(K&B兄弟)により1812年、蒸気機関を使った動力式の円圧印刷機が発明された。従来の手動式に比べて5倍以上の早さでの大量印刷が可能になり、早速、タイムズ紙で採用され、大量印刷の時代が幕開けすることになった。